レッスン

  • LINE
2013-14シーズンは序盤から成績をあげシード権を獲得した石川遼。なにかと注目されるドライバーショットについて本サイトだけにホンネを語った。


リスクを減らすティショットではアドバンテージは獲れない

 アメリカに行ってドライバーを置きに行くようになっちゃったんです。曲げたくないから。でも、そしたら余計曲がる。それが今年の5月、6月ぐらいまで続きました。

 ドライバーが打てるホールでも使わなかったり。たとえば、300ヤードぐらいのところからフェアウェイが狭くなったりバンカーがあるホールでは、米ツアーの選手は刻んでくるんですよ。セカンドで多少距離が残っても安全にフェアウェイから打ちたいから。そうすることで、ボギーのリスクを減らして、かつバーディを獲りにいくっていうゴルフの選手が多い。それは予選を通るために必要だし、実際自分もそれを見て、実践してシードを獲れたと思います。

 でもそうすると、みんな同じところからセカンドを打つわけで、アドバンテージを握れないんですよ。この点、マキロイのプレーは、だれよりも真っすぐドライバーを遠くに飛ばして、アドバンテージを獲ってますよね。だれよりも短いアイアンでセカンドを、近い距離からグリーンを狙う、ピンを狙うっていう。

多くの選手がなんでドライバーを持たないかっていうと、もし左に行ったらバンカーに入るとか、そういう思考になっちゃってる、前提で考えてると思うんです。でも、マキロイは考えてない。考えてるかもしれないけど、それがスイングに出てない。一回構えたら、パッといつもどおりのスイングをしちゃうってところが、すごく参考になります。


同じ体格のマキロイに飛距離で負けるのはやっぱり悔しい

 飛ぶ選手っていうのはカラダが大きいだけでなく、いいスイングをもってるってことだと思うんですよね。とくに悔しいのが、マキロイは身長がボクとあまり変わらないのに(ともに175センチ)飛ぶこと。

 日本の女子プロってめちゃくちゃ効率のいいスイングしてて、北田瑠衣さんにいわれましたけど、ヘッドスピード1に対して何ヤード飛ぶかっていう効率が、北田さんはヘッドスピード1に対して7ヤード。ヘッドスピード40なら240ヤード飛ぶわけです。これが男子になるとヘッドスピード1に対して6ヤードしか飛ばない選手も少なくない。

 自分は効率のいいほうだと思ってるけど、やっぱりマキロイの体格であのスイングができてあれだけ飛ぶ、となるとそこは悔しいです。同じくらいの身長の選手には、飛距離で負けたくないっていうのはあったんですけど、彼には勝てないなって。


タテの距離感と次のショットにつなげることが大事

 でも大事なのは、飛ばすことよりも、だれよりもドライバーがうまくなることかなって思います。ボクはドライバーの次が4番ウッドですけど、4番ウッドからサンドウエッジまではアプローチなんですよ。そこからはグリーンに対してどこまで距離を合わせていくかっていう。

 いまドライバーがマックスで305ヤードで、4番ウッドが275ヤードぐらい。それだと、ドライバーで突き抜けるけど4番ウッドだと距離が残りすぎちゃうってところで、ドライバーで飛距離をコントロールしていい距離を残すってことができるようになってこないといけないのかなって思うんですね。飛ばしたいときは高いドローで、抑えたいときは低いフェードとかっていうのを、完ペキに打ち分けられないといけない。いまもできるときはできるけど、精度が低い。やっぱり世界レベルとのドライバーの精度の差は感じます。どの選手と比べても一番ドライバーが下手だなって。

 ゴルフって、前に前に飛ばせばいいってものではないじゃないですか、大事なのは距離感だと思うんですよね。タテの幅。ドライバーでも何ヤード打つかっていう。狙った距離を打てるように。ゴルフは絶対距離感のスポーツだと思うんで。

 日本ではドライバーをマン振りして320ヤード、残りは80ヤード、ってやってました。でも、セカンドがサンドウエッジのコントロールショットっていうのがむずかしいんですよ。120パーセントで振ったあとに、70パーセントで打つのがすごくむずかしい。それだったら、80パーセントで300ヤード打って、次にアプローチウエッジで80パーセントのほうがシンプルだし、そのほうがショットのバラつきが少ないと思うんです。


[2014年2月のドライバーショット]














▲全体的に、たたかず曲げないように、という印象を感じる今年初めごろのスイング。本人が「置きに行っていた」ということがわかる。とくにダウンスイングの力感が足りないことが、曲がりにつながっていたのだろう



石川遼(2014年2月)のスイングを連続写真でチェック!


[[2014年7月のドライバーショット]
















▲日本ツアーで優勝した週のスイング。力強さにバランスのよさが加わり、よどみなく振りきっている。本人がかねてからテーマにしていた、インパクト前後の左脚の使い方(曲げ伸ばし)がうまくできている



石川遼(2014年7月)スイングを連続写真でチェック!



石川遼 いしかわ・りょう
1991年9月17日生まれ。175cm、68kg。米ツアー本格参戦2シーズン目はトップ10に3度入るなど成績を残し、シード権を獲得。来季は初優勝に期待。埼玉県出身。CASIO所属。

テーマ別レッスン

あなたのゴルフのお悩みを一発解決!

注目キーワード
もっとみる
閉じる