数多のアプローチの名手の中で、カノマタが別格だというのがジャンボ尾崎。そのジャンボが全幅の信頼を寄せている増田雄二氏に、彼のウエッジへのこだわりを聞いた。
増田雄二
「WOSSパター」や「TMJ」の開発に携わりジャンボ尾崎の全盛期を陰で支えたクラブデザイナー。04年にマスダゴルフを設立。独創的な開発と高度な製造技術でプレーヤーの能力を引き出すクラブを作り続けている
ミスをしても狙ったところにボールを運べる
どんなところからもアプローチをピタッと寄せて勝利を引き寄せる。そんなジャンボ尾崎の活躍を支えていたのが、増田雄二氏が手がけたグースネックウエッジだ。そのソールにはどんな秘密が隠されていたのだろうか。
「ジャンボさんのこだわりは、ハイバンス&フラットソール。それは技が使えるだけではなく、地面に当たる面積を増やして、ミスを最小限に抑える機能を、ウエッジに求めていたからです。打ち方も若干ダフっているように見えるくらいバンスを最大限に使っていました。ただ、幅広ソールはフェースを開いたときにリーディングエッジが浮きすぎてしまうのでソール幅は狭め。これが、ミスを防げて技も使える秘密です。ジャンボさんほどの人ですからボールだけをクリーンに打つこともできました。それでも『打点がズレても狙ったところにボールを運べるウエッジ』を必要としていた。それは、完璧なショットじゃなくてもいい。勝つために確実に寄せられるウエッジを求めていたからです」(増田)

▲ハイバンスでも幅狭ソールならフェースを開いたときにリーディングエッジが浮かないので、技が使える
ハイバンスはスピン性能も高い
ハイバンス&フラットソールは、ジャンボ尾崎の低く打ち出してキュキュッと止めるアプローチにも欠かせない形状。
「フラットソールは、ヘッドのスピード感を生み出す効果があります。また、ハイバンスにはヘッドの動きを支える働きがあるので、インパクトでフェースが開いたり、ボールの下を抜けるのを防いでくれます。その結果、フェースにボールがしっかりと乗って、スピンがかかるのです」(増田)

▲ソールがヘッドを支えてくれるハイバンスは、フェースにボールが乗る。薄くて長いターフを取りながら真っすぐ押していける時間が長くなるので、スピンがかかる
マスダゴルフ
スタジオウエッジM425
ジャンボ尾崎は完ぺきなショットが打てるウエッジよりも勝つためのウエッジを求めていた

▲ソールをフラットに削る増田氏。「ツアーで100勝以上を挙げているプロでも確率を求めてクラブを選ぶ。アマチュアゴルファーにもぜひ参考にしてほしいですね」

▲左がジャンボ尾崎、右が尾崎健夫モデル。どちらもハイバンス&フラットソールだが、より多彩な技を使う尾崎健夫のウエッジは、ヒール側を削ってさらにフェースを開きやすくしている
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