日本シリーズ
といっても、ゴルフ日本シリーズJTカップの話ではない。野球の話である。
第7戦までもつれた対戦で、第6戦で160球完投して負けた楽天のマー君こと田中将大が、第7戦のリリーフに登板。その起用とマー君自身の気持ちに、世間からは賛否両論がわいた。さすがプロ野球である。人気下降といわれながらもやはり、プロスポーツでは群を抜いている。
投手には投球数制限理論なるものがあって、基本的には100球程度を限度として交代するのが理想。登板間隔は中4日が常識。そんなセオリーも「通常の選手なら」と枕詞をつけるべきだ。
マー君は通常の選手ではない。能力の高い選手ほど、休みを多くとるべきだ。だが、勝ちたかった楽天、投げたかったマー君。これが最後だからという計算もあっただろう。高度な判断に、外野が口をはさむ余地なし。ファン、チーム、マー君、それぞれが満足したに違いない
タイガー・ウッズ
ゴルフの話にあてはめよう。
タイガー・ウッズに出場試合数が少ない点について、「ファンはあなたのプレーを楽しみにしているはずだ」という言い方でメディアから質問があった。そのとき、タイガーはこう答えている。
「最高の状態で試合に臨むのがわたしの役割だ。休養や調整を考えれば、月に2試合程度になる」
わたしは、まったくそのとおりだと思う。タイガーの場合、出場するたびに優勝争いをする。体力、精神力の消耗は、人一倍になる。これが「通常の選手」と違うということ。そして、リフレッシュして、完全に近い状態でまた試合に出場する。だから、また優勝争いをする。
この好循環も、タイガーをナンバーワンの位置に居続けさせている要因のひとつだろう。
松山と遼
米国ツアーはすでに開幕し、松山英樹と遼が参戦している。
ふたりの思惑は翌年のシード権であろう。今年の遼のようになりたくない。だから、まずはシード権。欲をいえば、マスターズ前に決めて、そのあとは優勝を目指すプランだと思う。
それが思うようにならないときに、今年の遼のようなすべての試合に出るというスケジュールになってしまう。しかも、今年の遼は体調不良を押しての無理なスケジュールであった。
ふたりがタイガーと同レベルであるとはいえないが、能力発揮という要因のなかに「休養・調整」が重要な部分であることは間違いないのだ。
遼の腰痛は慢性化して、スイング改造をしなければならないほどであった。松山の背中痛が慢性化すれば、遼と同じ道をたどる。メジャーで連続ベスト10入り、米国6試合で賞金シード獲得と「通常の日本人選手」からは考えられない結果を残したのだから、松山にはタイガー並みのスケジュールがあっても不思議ではないのだ。
遼にとっては、大いにはげみになる存在だ。日本人であり、同級生である松山が、メジャーまであと一歩(?)に迫ったのだから。
10戦5勝
日本人にもそういう選手がいた(失礼、いる)。尾崎将司である。
わたしが尾崎さんと話をした時々に、こんな話が出た。「俺は10勝するのに20試合は必要ない。だからたくさん休んだ」と。
いま思えば、10勝するために20戦にしぼって、万全の態勢で試合に臨んでいたんだ。目先( 20 位や30位)の賞金には目もくれず、次の勝利に的をしぼって調整していたんだ。
1年間の遼の不調があって、初めてそんなことに気がつくなんて、本当に情けない話である。
石川勝美
●いしかわ・かつみ──息子・遼のコーチ役として各地に帯同しながら、執筆、講演活動などを精力的にこなす。『石川家の子育て』など著書多数。ゴルフをはじめ読書、写真、釣り、旅行、競馬、家庭菜園など多彩な趣味をもつ。1956年生まれ。
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