黒船来襲
3月の3連休に、伊豆下田に行った。
低気圧が異常なほど発達した週末で、海は大荒れ。予定していた釣りはできなかった。あの風ではゴルフもままならなかっただろう。男4人で出かけたわけだが、地の魚の干物と酒、気が向けば温泉という3日間であった。
釣りをあきらめて出かけた場所は、下田の街。江戸の末期にペリーがやってきて、日本との平和条約が締結され、以後、日本は開国へと進んでいく。
遼と松山に対して、日本ツアーの年間5試合の出場義務を課す規定が発効されたようだ(もちろん、名指しで規定が書かれているわけではない)。複数年シード保持者と海外ツアーメンバーに年間5試合の出場義務試合数が課され、それに達しない場合は翌年1年間のシード資格は停止される(推薦などでは出場できる)という内容だ。
知人の何人かに意見を聞いてみた。
日本人なのだから、国内の試合に最低限出場すべき、ただそれが5試合なのかどうかはなんともいえない、という意見があった。今田竜二のように国内トーナメントに世話にならずに単身米国でデビューした選手とは違うのだから、というわけか。
ならば、丸山茂樹はどうだったか。彼が米国に出て行くときには尾崎将司がいたから、スター選手がひとり欠けた程度に考えることもできたということだろうか。
すると、いまは遼と松山以外に客を呼べる選手がいないということか? そうだ、という人もいるが、わたしはそうは思わない。時代が変わったのだ。
いまはゴルフネットワーク、NHKBSと、PGAツアーを生放送している。それも年間で40試合以上である。これが丸山茂樹が米国にいたときとの根本的な環境の違いである。当時、ゴルフネットワークはいまほど普及していなかった。
いま、もし遼と松山が米国で試合をしても、テレビ放映や報道がなければ、日本のゴルフファンは米国を見向きもせず、国内ツアーを楽しむだろう。
もう一方の意見として、その規定は場当たり的で、両選手をしばるだけでなく、日本のゴルフにとって百害あって一利なし、とする人もいる。これから海外に出ようとする選手に対する足かせにもなるし、プロゴルファーを目指す子どもにとってもイメージは落ちる。わたしとしてはこちらの意見にスタンスをとるが、前者のいわんとするところも理解しないわけではない。
どちらの意見が正しいか、という論点ではない。手品のタネはばれてしまったのだ。野球もサッカーも一流のゲームにしかその醍醐味は存在しないように、ゴルフにおいてもPGAツアーが放映されてからは国内ツアーの魅力はどんどん薄れていった。
江戸幕府は不平等条約を強いられ、開国した。不平等の最たるものは、関税自主権だったのだろう。いま日本は、世界第3位の経済大国である。米国にとって、中国に次ぐ魅力的国家だといえる。
開国政策をとるべきである。たとえば、PGA、もっといえばその下部のウェブドットコムツアーの賞金まで国内のランキングに加えるべきだろう。日本の選手が米国に出やすく、日本に戻りやすくするべきだ。そう考えることによって、JGTOの進むべき道が見えてくる。
小手先のファンサービスでは決して解決しない、厳しい局面におかれていることを認識すれば、真のファンサービスとは選手が一流になる以外に道がないと知り、そのためにどうするべきかに自ずと気づくはずだ。
石川勝美
●いしかわ・かつみ──プロゴルファー石川遼の父。ゴルフ界発展のためのさまざまな提言を発信する。ゴルフをはじめ読書、写真、釣り、旅、競馬、家庭菜園など趣味は多彩。著書に『石川家の子育て』など。1956年生まれ。
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