別の「ナイスショット」
アース・モンダミンカップ
今月はゴルフトーナメントのテレビ中継について書いてみたい。テレビ界についてはまったくの素人であり、記述に間違いがあるかもしれないが、ひとりの視聴者のコメントとしてそのあたりはお許しいただきたい。
まず、女子ツアーのアース・モンダミンカップ。テレビ朝日で放映されたのを見た。
この試合は、酒井美紀選手がトップで最終日を迎えたので興味があった。美紀ちゃんと遼は、幼いころ同じゴルフ場で練習していた。だからよく知っている。お父さまもキャディのお姉さまも、初優勝を本当に喜んだことだろう。
この試合の「ナイスショット」は、といってもゴルフのショットではなくテレビ映像のショットのことだが、プレーオフ2ホール目のアン・ソンジュ選手のティショットが池に落ちた映像をテレビカメラが見事にとらえていて、それを放映したことである。
まさかあのアン選手が、あれほど球を曲げるとは考えられない。そんな思いがカメラマンにあれば、あの映像は撮影されずに終わってしまっただろう。
言い忘れたが、生中継である。わたしは録画されたゴルフ中継はあまり見ないが、生中継なら見る。中継センターでは何台ものカメラの映像がモニター画面に映し出されていて、そのなかからどの映像にするかを瞬時に選んで放送しなければならない。ディレクターの腕も問われるだろう。だから、生中継はむずかしいのだ。あの場面で、ティショットを打ったあとのアン選手の表情を流す選択もあったかもしれないが、決定的場面をカメラが映していて、ディレクターはそれを選択した。
付け加えれば、解説の樋口久子氏のコメントもよかった。百戦錬磨のアン選手でさえこういうことがある、これがゴルフですね、といった言い方だったと思う。LPGAのトップとして中立を守り、落ち着いた解説だった。生中継はコメントもそのまま流れてしまう。解説に適する人間をしっかり選ばないと、大変なことになってしまう。
日本ゴルフツアー選手権
男子の日本ゴルフツアー選手権もNHKで生中継され、やはり見ていた。
午前中からゴルフが見られて幸せだった。これはNHK以外にはできない、と思っていたが、いまはBSやCSがあるから民放でも可能だろう。
優勝争いをしていた韓国のイ・サンヒ選手だが、テレビ放送されたホールでのプレーに、視聴者から物言いがついたらしい。トップタイでホールアウトして、さあプレーオフとなる直前、JGTOからその事態がイ選手に言い渡された。アテストテントですったもんだする場面とあわせて、ペナルティの原因となった所作が何度も再生された。
イ選手の行為は、パッティングのライン上であればペナルティにあたる、と映像では見えた。しかし、11番ホールでの出来事であるし、その場ではほかの2名の選手もスコアラーも気がつかなかったのも事実だ。どうもテレビが「防犯カメラ」になってしまったのだろうか。
JGTOとしても、あの映像がテレビに出てしまったら「知らない」とはいえないのかもしれない。わたしは、テレビ視聴者からの指摘によって事後に対応したことがよかった、悪かったという立場にないし、テレビを見ていただけでその場の事情はわからない。ただ、いいたいことはこれが生中継ではなく、録画中継であれば、問題となった11番グリーンの映像を放映しないとか、違う対応をとるのではないかと考える。録画なら、放送時間にはすでに試合は終わっていて、結果は確定されている。
たしかに生中継にはリスクが伴う。とはいえ、スポーツ中継の録画放送は、そろそろやめるべきだ。
石川勝美
●いしかわ・かつみ─プロゴルファー石川遼の父。ゴルフ界発展のためのさまざまな提言を発信する。ゴルフをはじめ読書、写真、釣り、旅、競馬、家庭菜園など趣味は多彩。著書に『石川家の子育て』など。1956年生まれ。
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