連載コラム

石川勝美-ゴルフ道なき奥の細道

子どもの夢

2014/11/20 21:00

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子どもの夢

 私立のある小学校では、入学時にまず先生が生徒に「将来、なにになりたいの?」と聞くそうである。

 子どもたちの夢は、圧倒的にスポーツ選手が多いそうだ。反対に、子どもをどんな職業に就かせたいか、という親の考えは、一流企業に就職してほしいとか、公務員とか、手堅い職業が多くなる。

 あこがれの人生と現実的な人生というものがあるとすれば、子どもたちは年を経るたびに夢が減り、現実に近づいていくのだろう。学力を身につけ、常識にしばられることによって、子どもたちの多くがサラリーマンに向かって成長していくことになる。

 もちろん、サラリーマンや公務員に夢がないとはいわない。自分もサラリーマンであった。しかし、就職する者の多くがサラリーマンという構図は問題である。ここに、日本の活力のなさ、若者の無気力さが生まれる原因があると思う。サラリーマンであってもせめて分類して、商社マンとか自動車メーカーとか医薬品メーカーとか、具体的な職業であってほしい。

 家庭内においても、サラリーマン家庭では父親(または母親)の仕事を子どもが十分に理解していないケースは多い。人生は自己実現のゲームである。テストでよい点をとって、一流の大学に進むことだけが人生ではない。それから先のほうがずっと長いわけである。


逸ノ城

 さて、なりたいスポーツ選手のなかで、やはり多いのはプロ野球選手とサッカー選手である。子どもなりにステイタスを感じるのだろうし、収入面の魅力も理解しているのだろう。

 福原愛選手が出てくれば、卓球選手という子も増える。錦織圭選手が出てくれば、テニスとなる。だが、野球とサッカーは、いつの世でも双璧といえるだろう。

 9月の秋場所で満員御礼が続いた大相撲はどうだろう。白鵬の優勝回数が千代の富士に並んだり、逸ノ城という新人の大活躍が人気を呼んだが、一般的に子どもたちのうけはあまりよくないようだ。国技とはいえ、まわしにちょんまげは現代的にはズレがあるのかもしれない。運動神経が優れていて、体力の豊かな子どもは日本にも多いが、やはり、野球やサッカーの道を選びたがるのだろう。そういう現状から考えて、日本人横綱誕生は今後むずかしいかもしれない。


プロゴルフ

 20歳そこそこの女性が1億円を稼ぐ。ほんのひと握りの人間とはいえ、女子プロゴルフの賞金シードを獲れる選手(50名)は少なくとも2000万円近くの賞金を稼ぐ。夢のある職業なだけに、競争も激しくなり、それゆえに技術のレベルも上がってくる。業界が活性化するとは、こういうことをいうのだ。

 それに比べて、男子ゴルフの興行は体をなしていない。よき時代はAONと丸山茂樹のころだろう。たしかに日本の国自体が成長していたという環境もあっただろうが、選手の力が世界に通用していたことが一番の要因だろう。

 もちろん、全選手の力が通用していたわけではない。ほんの4〜5人である。でもその選手が国内トーナメントに出場するのだから、お客は来る。

 JGTOは選手会と歩調を合わせて、ファンサービスの充実に努めている。マナー向上も叫ばれているし、ゴルフ普及の運動もしている。

 これは悪いことではないが、方向が間違っているとわたしは思う。真のファンサービスは選手が強くなること以外にない。松山英樹のような選手が4〜5人出てくれば、よき時代となる。そうなれば、子どもたちのなりたい職業の上位に、プロゴルファーが入ってくるはずだが。


石川勝美 いしかわ・かつみ
プロゴルファー石川遼の父。ゴルフ界発展のためのさまざまな提言を発信する。ゴルフをはじめ読書、写真、釣り、旅、競馬、家庭菜園など趣味は多彩。著書に『石川家の子育て』など。1956年生まれ。

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