連載コラム

石川勝美-ゴルフ道なき奥の細道

名ホール

2014/12/23 21:00

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名ホール

 ゴルフコースには「名ホール」と呼ばれるホールがある。トーナメントコースの場合、プレーヤーとしての名ホールとギャラリーから見たそれは少し違うかもしれないが、ここではギャラリーにとっての名ホールを挙げたい。

 まず、世界一といえるのが米PGAツアーのフェニックスオープンが開催される、TPCスコッツデール(アリゾナ州)の16番パー3だろう。

 ひとつのホールを競技場のようにスタンドが囲んで、その建物の中に売店があり、いす席、テーブル席がある。このホールだけで2万人以上が観戦できるという。

 わたしもスタンドに上って見たことがある。英語でなにをいっているかよくわからないが、酒を飲んだ若い男女がひっきりなしに話をしている。選手が打つという、そのときでさえもかなりうるさい。通常のトーナメントでは考えられない光景だ。でも、これだけ周囲が騒がしいと、静まり返ってしまうと選手は返って打ちにくそうだ。ショットが乗るか乗らないか、バーディかボギーか、3人のショットのうちだれが一番ピンそばにつけるか、あのパットは入るか入らないか。多くのギャラリーが賭けをしながら見ている。

 日本における名ホールは、やはり太平洋クラブ御殿場コースの18番ホールであろう。

 グリーン手前100ヤードほどから両サイドが土手状になっていて、それがグリーンの背後まで続いている。パー5のセカンド、サードショットからグリーン上のプレーまで、ギャラリーは座ったまま見ることができる。とくにグリーン右サイドの土手からは、グリーン奥に雪を冠した富士山があわせて見える。池がグリーンに迫っているので、ツーオンを狙う選手は池に入れることがある。3000人近くが見守るなかでのプレーは、まさに興行の醍醐味だ。

 ABCゴルフ倶楽部の18番もいい。最終戦・ゴルフ日本シリーズの舞台となる東京よみうりカントリークラブの18番も、パー3ながらすり鉢状の地形で、230ヤード先のティグラウンドでのショットが飛び出すところから球がよく見える。

 選手としては12月の午後、西日に向かって打つために晴れていると強烈な逆光となる。打った球が全然見えないときもあるようだ。しかし、グリーン奥の土手から見ているギャラリーとしては、順光で球がよく見えて、ピン近くに乗れば大拍手。それで選手は自分の球の行方がどうだったかわかることになる。苦言であるが、プレーを考えれば18番ホールは西に向かってつくるべきでない。

 ANAオープンが行われる札幌ゴルフ倶楽部輪厚コースの16番パー3もなかなかのホールだ。ティグラウンドからグリーンにかけて左サイドが小高い丘状になっていて観戦しやすい

 ここに挙げたホールに共通することは、そこでビールを飲んだり弁当を広げたりできることだ。動かなくてもプレーが観戦できる。ひとりの選手を追いかけて18ホールを歩き回るのもいいが、プログラムを片手に次から次へとやってくる選手を座り込んで見るのもいいものだ。ギャラリースタンドはそのためにつくられるわけだが、いいところ300~500人くらいの収容である。自然のスタンドで楽しめるようなコース選択も必要だろう。

▲TPCスコッツデール 16番パー3



▲太平洋クラブ御殿場コース 18番パー5



▲東京よみうりカントリークラブ 18番パー3




地方創生

 安倍内閣の重要施策のひとつが、地方創生である。たしかに、東京に一極集中傾向はあるが、とはいえ東京は便利である。

 来春、北陸新幹線が金沢まで開通するというので、在来線の乗り納めで金沢へ行ってみた。新幹線景気で街はわいているようだ。宿泊した東急ホテルの近くの片町の料理屋で飲むことにした。

 カウンター席のみという小さな店であったが、上品で温か味のある店だった。その土地の人に愛され、わたしのような観光客も行ってみたくなるような店。ちなみに店名は「一献」。

 新幹線が延びれば、金沢は日帰りができる距離になる。そうなると、東京に飲み込まれていってしまうのではと心配だ。いまは自給自足、独立した文化、経済で成り立っている街も、その景色が変化する。それが悲しい。金沢の底力に期待。

 今年からダンロップが福島オープンの冠スポンサーとなり、白河(福島県)で新しいトーナメントを開催した。震災地での開催はよかったと思う。数年前に日本オープンが沖縄で開催された。これもよかったが、日本オープンの場合はその地に根づくものではない。

 賞金を高額にする必要はない。JGTOも、もっと少額の試合をツアーと認めるべきだ。そして、日本各地でゴルフトーナメントを開催していくことが、少しでも地方の力になるのではないだろうか。


石川勝美 いしかわ・かつみ
プロゴルファー石川遼の父。ゴルフ界発展のためのさまざまな提言を発信する。ゴルフをはじめ読書、写真、釣り、旅、競馬、家庭菜園など趣味は多彩。著書に『石川家の子育て』など。1956年生まれ。

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