先月に引き続き大相撲の話になるが、11月の九州場所で白鵬が優勝回数を大鵬に並ぶ32回とした。この場所は全勝優勝ではなかったが、三横綱三大関の時代としては、圧勝といえるだろう。
わたしは大相撲には詳しくないが、大鵬のライバルは柏戸で二強時代だった。白鵬の相手は、かつての朝青龍をふくめ、つねに複数の優勝候補が存在している。そこが大鵬と違ってさらに記録を引き立てることになる。
横綱を評して横綱相撲というのは少しおかしな言い回しであるが、ほかのスポーツとの比較上、そう呼ばせてもらった。
ほかのスポーツにおいて、わたしの知る横綱相撲は競馬のディープインパクト。人間ではなく馬の話だが、国内13戦12勝、すべて一番人気。旗手は武豊以外が起用されたことはなかった。観客はレースを見に来るより、ディープインパクトを見に来たといっていいだろう。
名勝負
ゴルフにおいては、一時のタイガー・ウッズが横綱相撲だったといっていいだろう。国内においては尾崎将司が群を抜いている。主役が勝ってこそ、名勝負は生まれる。
2014年のダンロップフェニックストーナメント。この試合はこの10年の国内トーナメントのなかでベストゲームだとわたしは感じた(わたしの知るかぎりなので、感じた、といわせてもらった)。主役は松山英樹とジョーダン・スピース。脇役に岩田寛、藤田寛之、小田孔明。そのほかの役者にはウェブ・シンプソン、石川遼らがいた。
最終日はスコアの伸ばし合いとなり、スピースが一歩届かず、松山がプレーオフで岩田を破った。松山が勝ったことが白熱した優勝争いに花を添え、盛り上がりを生み出し、名勝負となったといえると思う。
ゴルフは実力伯仲のスポーツで、出場者だれにも優勝のチャンスがある。主役といえどもほかの100名以上を退けて勝つ確率は低く、むしろめずらしいことだといってよい。
尾崎将司のツアー94勝は前人未到の記録であるが、やはりいまのツアーとは比べられない。いまは年間25試合しかなく、全体の実力レベルも上がっている。年間7勝、8勝とすることは不可能に近い。大鵬と白鵬の優勝環境が違うのと同じことだ。
そういう現在の環境のなかで、松山は2戦してひとつ勝った。少し時期尚早かもしれないが、ダンロップフェニックスは松山の横綱相撲だったと思う。
ゴルフの場合の横綱とは、世界ランクの上位者かメジャーチャンピオンである。そういう選手をひとりでも多く輩出し、国内で名勝負を演じてもらう。それ以外にゴルフツアーの価値は高められないだろう。
石川勝美 いしかわ・かつみ
プロゴルファー石川遼の父。ゴルフ界発展のためのさまざまな提言を発信する。ゴルフをはじめ読書、写真、釣り、旅、競馬、家庭菜園など趣味は多彩。著書に『石川家の子育て』など。1956年生まれ。
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