ニュースだけじゃ伝わらない米女子ツアー選手たちの魅力を毎月、現地からレポートします!
文=及川彩子/写真=南しずか
野村敏京 Harukyo Nomura
1992年11月25日生まれ。166cm。日本人の父と韓国人の母をもつ。5歳まで日本で育ち、韓国へ渡る。アマチュア時代、日本で多くのローアマを獲得する。日韓の二重国籍だったが、10年に日本国籍を選択し米女子ツアーデビュー。世界ランク22位(7月11日現在)。神奈川県出身。日本国籍。
今季2勝と好調!高い技術と集中力が武器
「楽しんでプレーしているのがいいのかな」
今季すでに2勝し(7月11日現在)、世界ランク22位につけている野村敏京は好調の理由をそう話す。
6月に東海岸で行われた「ショップライト・クラシック」の最終日、野村は首位と1打差2位でスタート。優勝の期待もかかる中、キャディのジェイソン・マクディードと笑顔でおしゃべりする姿が何度も見られた。
「昨日食べた物とか美味しいアイスのお店を見つけたよとか、食べ物の話ばかりです(笑)」
この試合、後半は攻めのゴルフも見せて5アンダー、合計16アンダーで首位に1打差の2位と上々の結果を収めた。
忙しいツアー中の気分転換は「アイスクリームやチョコレートなど甘いものを食べること。ダイエットしているんですけどね」。ニコニコと話すその姿はごく普通の23歳だ。しかし一度スイッチが入ると、バツグンの集中力と高い技術で他を圧倒する。とくにアプローチとパットはトップレベルで、現在はバーディ獲得数で米女子ツアー2位につける。
タフなコースが多いツアーで戦うためにはショットの飛距離も必要になるため、シーズン中も欠かさずウエイト練習を行う。「やらないと筋力が落ちちゃいますから」とさりげなく話すが、陰で猛練習を行う努力家でもある。米女子ツアーでプレー経験のある片平光紀プロは「ハルちゃんはドローとフェードを打ち分けることができる数少ない女子の一人」と太鼓判を押す。
練習を重ねてもなかなか習得できずあきらめる選手もいるが、「とても大変だったけれど、できるようになるために一所懸命練習しました」と野村は負けん気ものぞかせる。
リオ五輪の日本代表が決定し、「ジカ熱や治安など心配もありますが、112年ぶりのゴルフ競技なので楽しみ。出るからにはメダルを獲りたいです」と野村。
母が「ハルは自然体が一番」と言うように、飾らずにそして楽しむ姿を見守っていきたい。

▲2位フィニッシュした「ショップライトLPGAクラシック」で。カメラを向けるとポーズを決めてくれた
及川彩子 おいかわ・あやこ
Number』をはじめ、スポーツ雑誌、サイトに記事を執筆するスポーツライター。ニューヨーク在住。岩手県出身。
南しずか みなみ・しずか
1979年生まれ。2009年より米女子ゴルフツアーを取材。ゴルフ雑誌や『Number』『Sports Illustrated』など、スポーツ誌に写真を提供。ニューヨーク在住。東京都出身。
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