連載コラム

海の向こうのタフガールズ
カトリーナ・マシュー

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ニュースだけじゃ伝わらない米女子ツアー選手たちの魅力を毎月、現地からレポートします!
文=及川彩子/写真=南しずか


カトリーナ・マシュー Catriona Matthew
1969年8月25日生まれ。163cm。5歳からゴルフをはじめる。アマチュア時代、86年「スコティッシュガールズチャンピオン」で優勝。1995年プロ転向。09年、39歳で悲願のメジャータイトル「全英女子オープン」を制した。ほかに米ツアー3勝。スコットランド出身。賞金ランク35位、世界ランク48位。(2016年8月10日現在)


出産から5週間後に全英優勝、リオ五輪では愛娘に雄姿を



「リオ五輪の代表になったことを2人の娘がとても喜んでくれているの」

 いつもはキリッとした表情でプレーする彼女が、優しい母親の表情になった。

 カトリーナはスコットランド出身の46歳で、米ツアーには1995年から参戦している大ベテラン。米ツアー3勝のほか、09年には、次女ソフィーちゃんの出産からわずか5週間後に地元で行われた「全英女子オープン」で優勝するという離れ業を成し遂げた。『タフガール』ならぬ『スーパーマザー』でもある。ペアになった選手に気さくに話しかけたり、凛としたプレースタイルをする彼女に憧れる年下の選手は多い。

 今季は優勝争いこそないが、7月最終週に行われた「全英女子オープン」で5位になるなど、徐々に調子を上げてきている。今季最大の目標はリオ五輪で、「ゴルフが五輪の種目に決まってから、リオ五輪を目標にしてきた。私だけではなく、そういう女子選手は多いと思います」と話す。

 9歳と7歳になる娘とはツアー中は離れ離れで生活し、寂しい思いもさせている。しかし2人は母親の五輪出場を心から喜び、応援してくれていた。

「4年前にロンドン五輪が開催されたので、五輪への注目は高まっています。娘たちは学校で『うちのママが五輪に出るんだよ』と自慢しているらしいです」とうれしそうに話す。

 英国五輪委員会はゴルフ競技の活動費などの支援は一切なく、今回の五輪もユニフォームと必要経費が支給されるだけ。メダルをとっても国からの報奨金などはないが、「五輪に出られるのはとても名誉なこと。代表のユニフォームを着るのが楽しみ」とカトリーナ。

 「楽しんでプレーしたい」と控えめだった「スーパーマザー」の雄姿を、娘たちはきっと4日間、テレビにかじりついて応援したことだろう。

▲ポートレイトのお願いに気軽に応えてくれるマシュー。娘の話になると顔がほころぶ




及川彩子 おいかわ・あやこ
Number』をはじめ、スポーツ雑誌、サイトに記事を執筆するスポーツライター。ニューヨーク在住。岩手県出身。

南しずか みなみ・しずか
1979年生まれ。2009年より米女子ゴルフツアーを取材。ゴルフ雑誌や『Number』『Sports Illustrated』など、スポーツ誌に写真を提供。ニューヨーク在住。東京都出身。

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