ニュースだけじゃ伝わらない米女子ツアー選手たちの魅力を毎月、現地からレポートします!
文・写真=南しずか
ジェリーナ・ピラー Gerina Piller
1985年3月29日生まれ。170cm。15歳でゴルフを始める。03年ニューメキシコ州選手権で優勝。07年にプロ転向し、10年に米ツアーデビュー。13年は欧米対抗戦の「ソルハイムカップ」代表に選ばれた。夫はPGAツアープロのマーティン・ピラー。アメリカ出身。賞金ランク17位、世界ランク16位。(10月11日現在)
15で始めて30歳。遅咲きのアメリカ代表の挑戦
約1世紀ぶりに五輪に復活したゴルフ。第3ラウンドを終えた時点で2位タイだったジェリーナ・ピラーは「メダルを意識しないというのは不自然。自分が表彰台に立つ姿がイメージできるし、(明日は)自分を信じる」といった。
トップ10入りを9回はたすなど、今季好調のピラーは「インターナショナルクラウン」と「リオ五輪」のアメリカ代表として出場。ハイレベルで選手層も厚いアメリカでの代表の座は、トップゴルファーの証明である。
ただひとつ、足りないものがある。07年にプロ入りしてから、まだ“優勝”していないのだ。
ピラーについて、米国ゴルフ雑誌「GolfWeek」シニアライターのニコラスが、興味深い話をしてくれた。
「ジュニアの頃から世界大会のようなレベルの高い試合で結果を出せば、自分の実力が分かって自信もつくでしょう。でも、ジェリーナがゴルフを始めたのは15歳。高校時代は地元ニューメキシコ州の大会に出場したにすぎず、大学のゴルフ部でも目立つ選手じゃなかった。だから、いつも彼女は“自分はできる”と自身に言い聞かせる必要があったんです」
“15歳でクラブを握り30歳になった”ピラーは、“15歳で米女子ツアーを史上最年少で優勝し、19歳で世界ランク1位”のリディア・コー、そして韓国ナンバー1の朴仁妃とともに、リオ五輪の最終日最終組でプレーした。結局、3つスコアを落としてしまって11位タイ。イメージしていた表彰台には、同組のふたりが金、銀のメダルを持って立っていた。
「まさかリオ五輪の舞台に立てると思っていなかったので、いい経験になった」ホールアウト後のインタビューで、あふれる涙を手でぬぐいながら、前向きな言葉を絞り出した。
「ピラーの活躍は、ベテランや遅咲きの選手を勇気づけているでしょう。必ずしも小さい頃からゴルフを始めなくても、トップゴルファーとして活躍できるんだってね」とニコラスはいう。
初優勝まであと一歩。遅咲きのピラーの挑戦は続く。

▲「インターナショナルクラウン」の米国代表。左から、クリスティー・カー、レキシー・トンプソン、ジェリーナ・ピラー、ステイシー・ルイス、LPGAのスタッフ
南しずか みなみ・しずか
1979年生まれ。2009年より米女子ゴルフツアーを取材。ゴルフ雑誌や『Number』『Sports Illustrated』など、スポーツ誌に写真を提供。ニューヨーク在住。東京都出身。
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