ニュースだけじゃ伝わらない米女子ツアー選手たちの魅力を毎月、現地からレポートします!
文・写真=南しずか
リゼッタ・サラス Lizette Salas
1989年生まれ。162cm。11年6月にプロ転向し、ルーキーイヤーは18試合に出場して賞金ランキング51位でシード権を獲得。フェアウェイキープ率が79.8%と正確なショットと精度の高いショートゲームが武器。アメリカ出身。
トランプ次期大統領で揺れる、2勝目を狙うメキシコ系プロ
11月9日、世界が注目する中、共和党のドナルド・トランプが、民主党のヒラリー・クリントンを退けて、米国の次期大統領に選ばれた(12月12日現在)。移民への批判や女性軽視の暴言など過激な発言を選挙期間中に繰り返したトランプの当選を受けて、全米各地で抗議デモが発生するという事態に陥った。選手たちの反応も様々で、当選を喜ぶ者もいればメキシコ移民の女子プロ リゼッタ・サラスは「すべてのゴルファーが選挙の結果を喜んでいるわけではない」と落胆の意をツイートした。
リゼッタの両親はメキシコからアメリカへの移民で、今も親戚はメキシコに住んでいる。「メキシコとの国境に壁を築く」と公言する新大統領にリゼッタが不安を覚えても仕方ないだろう。
「新大統領がアメリカ人、一人ひとりの幸せを考えて、アメリカ人の代表として公務をまっとうすることを期待します。私は父親譲りの楽観主義なので、この4年間がいい方向に向かうと信じています」
リゼッタの父親がゴルフ場にエンジニアとして勤務していたことがきっかけで、彼女は7歳のときにゴルフを始めた。生まれ育ったヒスパニック系の環境ではサッカーのほうが人気だったが、リゼッタはゴルフが得意と気づき、12歳ぐらいから本気で取り組んだ。15歳のときにジュニアの大会で「62」を記録したことで周りから注目を集めるようになり、ゴルフでアスリート奨学金を獲得して南カリフォルニア大学に入学。そして、プロ入り3年目の14年にメキシコ系アメリカ人プロとして初優勝を飾り、ゴルフでアメリカンドリームを成し遂げた。
「どなたですか?」昨年の全英女子に訪れたトランプ大統領は、米メディアからリゼッタについて質問されて、そう答えたそうだ。15年にソルハイムカップの米国代表選手に選ばれたリゼッタは、他の代表選手とともにホワイトハウスへ招かれている。トランプ大統領とも対面する日が来るかもしれない。それまでにリゼッタの不安は解消されているだろうか。

▲14年のロレックスパーティのレッドカーペットで、美しくドレスアップしたリゼッタ
南しずか みなみ・しずか
1979年生まれ。2009年より米女子ゴルフツアーを取材。ゴルフ雑誌や『Number』『Sports Illustrated』など、スポーツ誌に写真を提供。ニューヨーク在住。東京都出身。
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