イラスト=北沢夕芸
ハローエブリバディ!1月に男子ツアーが開幕し、初戦と第2戦の両方ともアジアンツアーとの共同開催。協会が「共同開催のおかげで、前年と同じ試合数をキープできてよかった」としか思っていないとしたら危険だ!
「SMBCシンガポールオープン」も「レオパレス21ミャンマーオープン」も、スポンサーは日本の企業。世界進出している企業にとっては海外に情報発信できるし、日本ツアーにとっても試合数が増やせる。そういう意味でwin−winの関係になっている。また、海外勢が勝てば日本のツアーに出られるし、日本ツアーの選手が勝てばアジアンツアーに出場できる。アジアンツアーはヨーロッパとも共同開催しているので、ヨーロピアンツアーにも出場することができるのだ。いいプレーヤーを吸い上げられるという点で、共同開催の意義は大きい。
ただ、日本ツアーの権利関係のせいでライブスコアが止まるのが大問題。日本のトーナメントが、世界レベルにまで達していないことを露呈してしまっている。この権利関係の問題はいち早く解決すべき。また、選手のモチベーションを上げるためにも、さらに上のランクのPGAツアーの共同開催を取りに行く必要があるだろう。
最近だと、PGAチャンピオンズツアー「JAL選手権」が9月に成田ゴルフ倶楽部で行われることが発表された。これは明らかな失敗例。問題なのは、日本で開催するのに出場する人数が8人という少なさ。日本側からの働きかけがなかったせいで交渉の場にも立てず、不利な条件を押し付けられている。黒船が来襲するのではなく、日本の戦艦・ヤマトが、ぐんぐん攻めていくべきなのだ。
たとえば、「ソニーオープンinハワイ」。現在はPGAツアーが主催しているが、スポンサーのソニーは日本の企業。ソニーと手を組んで日本ツアーと共同開催をPGAツアーに提案するくらいはできるはず。試合数を増やすために「日本ツアーから60人は選手を出場させますから、共同開催しませんか」くらいの思い切った提案をしてほしい。たとえ、共同開催は難しいとしても、出場枠30人程度は確保できるかもしれない。そういうネゴシエイトをする必要があるのだ。それが外交であり政治力。なんでもかんでもウェルカムではダメなんですよ。もっと頭を使わないと、試合数増には結び付かないと思うんですがねぇ…。
「ソニーオープンinハワイ」を共同開催にしよう!くらいの思い切った提案ができないものか。試合数増を目指すにはもっと頭を使った交渉が必要だ!
▲13年に「アジアパシフィックパナソニックオープン」で優勝し、アジアンツアー出場権を獲得した川村昌弘。アジアンツアーはヨーロピアンツアーとも共同開催しているので、共同開催は世界で活躍するためのチャンスでもある
タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)/1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。
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