連載コラム


進化した米ツアー。日本のツアーも日程を見直すべきじゃない?

2013/12/18 21:00

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 ハロー、エブリバディ。この号が出るころには日本ツアーも終盤。賞金王やシード権争いの話題で盛り上がっている……ならいいんだけど、話題といえばサムライボーイズ(石川遼と松山英樹のことね)ばかりではないかと、予想します。

 そういえば、全米オープンに匹敵するはずの「日本オープン」。開催地が交通至便な「茨城ゴルフ倶楽部」にもかかわらず、閑古鳥だったねぇ。サムライボーイズが出場した昨年の沖縄大会よりも大幅減とは……。人気ないねー。なぜこんなことになってしまったのか。

 ここで無視できないのが、今シーズンからスタートした米ツアーの制度改革(※)。入れ替え戦によるシード権の下剋上制度で石川遼は見事出場権を獲得し、堂々の活躍ぶりはご存知のとおり。この大改革は、危機を迎えた米国経済の影響を受けるだろう米ツアーを、もっとエキサイティングに活性化するのが目的。選手たちの大きな支持もあったという。

 で、日本へ話を移そう。9月以降高額賞金の試合が続く期間を「秋の陣」と呼んで盛り上げているが、ボクにいわせれば「互助会秋の陣」。だって終盤になるにつれ出場人数が減り、賞金も人気も高い「太平洋マスターズ」や「ダンロップフェニックス」なんて84人しか出られないんだから。それまでに勝負をつけられなかった選手はほぼノーチャンス。高額賞金は上位者たちの分け前となるわけ。ね、互助会みたいでしょ。

 男子ツアーは年間24試合しかないのに、これじゃ隠れた逸材の出る幕もない。松山のような大物が現れないかぎり、メンツはいつも同じ。ファンも離れて当たり前だよね。

 出場人数が少ないのは日照時間の関係もあるだろうけど、だったら米ツアーみたいに期間を変更すればいい。冬至以降は日照時間が長くなるんだから、現在4月の開幕戦を前倒しして、最終戦を10月にすれば、早朝から多くの選手がスタートできる試合が増やせる。選手が増えればそれぞれにファンもつき、活性化につながるはず。ジャニーズだってAKBだって、どんどん新メンバーが出てくるから人気が衰えないでしょ。

 秋にビッグトーナメントを開催する効果は、シーズンを終えた海外のスター選手を招致できるという理由だったけど、米ツアーが改革を進め、アジア、中国で試合を開催するようになったいま、意味がないはず。

 選手会、ツアー機構、スポンサー、その他メニメニの関係者さん、いまこそ本気で、日本ツアーの改革を考えるときじゃないでしょうかね。


米ツアーの制度改革を乗りきりシード権を獲得した石川遼

「あのときのタイガーはここまで飛ばした」とか「日本が金メダルを手中にしたのはこのホール」なんていいながらプレーしたいと思いませんか? オリンピック開催コースでのプレーが、旅行者たちの目的のひとつになれば、経済効果も期待できる。ゴルフ未経験者がテレビで見て「ここに行ってみたい。ゴルフをはじめようかな」なんて思うかもしれないのに、プレーできないなんて。

 会場をもし再考できるのなら、現存するコースに手を加えるのもよし、新しくコースをつくり上げるのもよし。大切なのは後世の日本のゴルファーへ聖地を、歴史に残るコースとともに伝承していくこと。それができるチャンスじゃないかな。2020年を期に日本のゴルフを変える意気込みで取り組みたいね。


●小山武明(こやま・たけあき)――1964 年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS) ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。

※米ツアーの改正点
これまではレギュラーシーズン( 1月~8月) の賞金ランク上位125 人が9月のプレーオフ4試合に出場し、賞金王を決定。その後、来季のシード権を争うフォールシリーズ3試合が行われた。また、2軍ツアーとQスクールの賞金ランク上位者にも翌年の出場権が与えられたが、これを変更。シーズンを10 月から翌年9月の1年周期にし、シード権は賞金ランクではなくフェデックスカップランク上位125位までに。入れなかった75 名は2軍「ウェブドットコム・ツアー」上位75 名と、新設された「ウェブドットコム・ツアー最終戦」4戦で入れ替え戦を行うことになった。

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