連載コラム


新たな試みで試合が増えた。でもそのやり方に一抹の不安が…

2014/6/23 21:00

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 ハロー、エブリバディ!ゴルフしてますか?コースプレーにツアー観戦に、まさにサイコーの季節ですよね。さて、ツアー観戦といえば、新たに「片山晋呉インビテーショナル ネスレ日本マッチプレー選手権」が開催されるというニュースはご存知ですか。優勝賞金は国内最高額に並ぶ4000万円のマッチプレーで、優勝者には海外ツアー進出支援金としてさらに1000万円が支給されるという。はたしてこれを喜ぶべきか、悲しむべきか…。え? ツアーの革新を訴えていたくせになんでトーンが暗いのかって?いやね、試合が増えることはいいことなんだけど、わたしのいわんとする革新とはどうも違うようで…。

 わたしの考える試合のあるべき姿はマスターズ。クラブのメンバーがお金を払っても見たいプロを招待して興行をうつ。ギャラリーはどんどん増え、それにより賞金額が上がり、出場できる選手は名誉となり、出場にあこがれるプロが世界中から集まってくる。PGA、USGA、R&Aのどこの団体にも属していないのに、世界一有名で、世界一人気のある試合へと成長したすばらしい大会。いまでさえ高額賞金だけど、1934年の開幕時の賞金は1500ドル。いまの日本でいえば400万円くらい。いうほど高額じゃないのにこれだけ成長したのは、10年先、20年先、100年先まで続けていこうという、マスターズ委員会のゴルフに対する造詣の深さがあってこそ。

 で、この試合。高額賞金をポンと出していただいたのはうれしいのですが、同じ5000万円なら総額50万円で100回分とか、賞金の少ないステップアップやチャレンジツアーを増やしていただくようなビジョンでいてくださるほうが、わたしとしてはうれしいのでございます。100年後、わたしはこの世にはいないけれど、後世に受け継がれて成長していく大会をひとつでも多く残していくことが、現代を生きるゴルフラバーの使命じゃないかな。と。

 たとえば、長く続いている試合を見ると、必ず地域とファンがガッツリタッグを組んでやっている。それが米ツアーなら州オープンだったりする。欧州ツアーなら国のナショナルオープンが100年以上続く肝の試合なんだな。賞金は身の丈でいい。もちろん、ネスレさんの身の丈がこの賞金なのは理解できるが、長期的な展望とビジョンが、この試合にかかわる人々のなかになにが写っているのかが大切な気がするんだ。5年後いや、10年後には日本メジャーのひとつになるんだという気概があれば、わたしはなにもいうことはありません。のだが。

高額賞金より、10年後、20年後まで愛される試合になることを願わずにいられない…


『片山晋呉インビテーショナルネスレ日本マッチプレー選手権』

9月12日から3日間、「葛城GC」(静岡)で開催。昨年の成績を基準に選出した32人で争う。優勝者は賞金4000万円に加え、海外挑戦資金1000万円を獲得。来年の欧州ツアー「ハッサン2世トロフィー」の出場権も得る。JGTOツアー外競技としての開催だ。「グローバルがテーマ。国内ツアーがアジアを代表するツアーに成長する可能性が低いので」(ネスレ日本高岡浩三CEO)、「いままでにない試合をつくりたいが、日本ツアーに入るといろいろ制約があるので」(片山)。



タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)――1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。

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