ハロー、エブリバディ!今月は、いきなり本題に入らせてもらいます。
警告!いったい、だれのためのツアーなのか?
今年の日本ツアーを見ていると、がっかりすることばかりなのである。象徴的なのが女子ツアー。毎週のように出てくる若くて強いアマチュアと、それを打破するプロとの争い。ある意味スリルはあるかもしれない。
しかし、だ。若く新しいヒーローやヒロインを待ち望む気持ちはあるとしても、プロの試合で勝つのはプロでなければいけないのです。みなさんだって、プロの試合でアマチュアが勝つ姿なんて、見たくないのが本音では?
思い起こせば2007年、高校一年生の石川遼が「マンシングウェアオープンKSBカップ」の予選の予選、マンデーに出場。本戦出場枠の上位4人には入れなかったが、マンデーベストアマだった石川に、主催者推薦最後の1枠が与えられ出場。悪天候による3日間競技という幸運も重なりアマチュア史上最年少で優勝した。それを機に、「ヒーロー、ヒロインの発掘」を理由に若年、しかもまだ学生の出場枠を男女ツアーともに登用するようになった。
過去の例を見ると、倉本(昌弘)さんが、「中四国オープン」で史上初のツアー競技アマチュア優勝。まだ大学生の片山晋呉がグローイング(現チャレンジ競技)の「水戸グリーンオープン」で同じくアマチュア優勝しているが、いずれもレギュラーツアーにあらず。企業がスポンサードし、勝ったプロに賞金が与えられるレギュラーツアーに、賞金をもらわないアマチュアが出場するなんて、あまりにも不可解なことであるのです。しかも、プロの試合は月曜もしくは火曜に現地入りだから、一週間学校には行けないことになる。世界広しといえど、こんなツアーは日本だけ。
機会を与え、若い世代にできるだけさまざまな試合を経験させることはマイナスだけではないが、学生には学生のフィールドがあるはず。
そもそも、プロのフィールドでアマチュアが勝てば、一時的には大きな話題になりゴルフ界も活性化するかもしれないが、そうなればなるほどプロの商品価値が下がることは歴然。プロよりアマがうまいんじゃ興行としてなりたたないでしょ。それに、学生のゴルフなんてもろ刃の剣。10年後に人気プロ、いやプロになっているかどうかだって怪しいもんだ……。アマチュアに出場権を与えるくらいなら、正真正銘プロの下部ツアーにチャンスを与えたほうがよっぽどリソースは大きいはず。
だいたいね、趣味のゴルフでプロの試合に、しかも学校休んで出場するなんて、毎日必死で働いたお金でゴルフ代を捻出している読者諸兄たちに失礼でしょ!
日本ツアーを席巻する選手のなかに、ツアーをより大きなビジネスモデルにして行く気概や考えをもつ選手たちが多くなることを望んでいるのは、わたしだけではないと思うのですが…。
ヒーロー・ヒロインの発掘?アマチュアをプロの試合に出すのは危険です!
「日本シリーズ」にアマとして出場翌年、史上最年少プロに転向
07年「マンシングウェアオープンKSBカップ」で優勝後、「フジサンケイクラシック」「三井住友VISA太平洋マスターズ」などレギュラーツアー8試合に出場した石川遼。うち、5試合で予選通過、4試合でローアマを獲得。翌年1月にプロ転向を発表した。ちなみに、出場総人数わずか30名の最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」にアマチュアとして出場したのはこの年の石川遼と11年の松山英樹だけ。
タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)――1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。
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