ハロー、エブリバディ!秋のシーズン到来。楽しくゴルフしてますか?もちろんわたしも大いに楽しんでおりますが、こと仕事の現場にいると、いいたいことが湧き上がってくるわけで……。とはいえ今月は、いままでのような辛口ばかりではありません。男子ツアーの英断には大いに賛同しているという話。え?なんのことかって?
それは、昨年末にすでに発表になっている出場資格の改定で、賞金ランキングでのシード権上位70名を、来年度から上位60名にしたことである。
だって、試合数が激減している、つまり賞金総額が激減しているのにシードの人数が変わらないということは、必然的にボトムの賞金額が減るわけで、1年で稼いだ賞金が1000万円強でもシード選手になってしまう。エントリーフィ、キャディフィ、交通費、宿泊費など試合に出るためには必要経費が2〜300万円はかかるから、それを差し引けば稼ぎは1000万円に満たない。この額で、日本を代表するメジャースポーツのシード選手の生業として認めていいのかって話。逆にいえば、1000万円稼げばシード選手になれてしまうなんて、興行としてエキサイティングじゃないよね。たとえばですよ、米国No.1の人気スポーツ、MLBの一軍登録選手のリーグミニマム(下限年棒制限)は50万ドル(約5000万)ですよ!それが夢を売るスポーツ選手の給料です。
だから、今回のようにシード選手が少なくなれば、ボトムの賞金総額が上がりシード選手のプライオリティが高くなる。下位選手のチャンスも広がるだろう。いままでのぬるいシードで権利を得てきた選手たちの反発はあっただろうが、肉を切らせて骨を断つ英断だといえると思う。ただし、残念なのは中途半端だってこと……。完全に10人分のシード権を切ったわけではなく、61〜75位なら条件つきだが、チャレンジツアーやQT上位者よりは試合に出られる優先順位が高いというのだ。
ちょうど昨年、大幅な制度改革をしたアメリカツアーは、下部ツアーの上位とメジャーツアーの下位で壮絶な入れ替え戦を行い、白黒しっかり決着をつけた。石川遼選手はその戦いできっちり勝負をつけ今シーズンを戦い堂々の125位以内、プレーオフシリーズに駒を進めたのだ。日本は結局、レギュラーツアーのメンバーであることが最優先だけど、シード落ちした宮里聖志がチャレンジツアーに出れば優勝できる実力があるように、下位の選手とチャレンジツアーの上位を総入れ替えするくらいの大胆さが必要。もしもそうしたときに、下部からの選手を恐れ、反対するような保守的な選手にエキサイティングなプレーを求められるとは思えないしね。
切るべき人は切って行かないと、真の意味での強いツアーになれないと思うんですがねェ。
来季から賞金シードが70位から60位に繰り上げに。JGTOの英断には賛同するが中途半端でちょっと残念
米ツアーが施行した「フェデックスカッププレーオフ」のしくみ
レギュラーシーズンでフェデックスカップポイント125位以内に入り、シード権を獲得した選手のみ出場できるのがプレーオフ。全4試合だが、1試合ごとに累積ポイント順に出場者がカットされ、最終戦「ザ・ツアー選手権」に残れるのはわずか30名。優勝すれば約10億円が手に入る。昨年は出場できず、過酷な下部ツアーとの入れ替え戦を戦った石川遼は、今季は出場することができた。
タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)――1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。
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