ハロー、エブリバディ!昨年末に発表された日本の男女ツアーのスケジュールを見て、すっかり失望しているわたしです。
女子は1減1増で変わらずの37試合ながら、賞金総額は増額して史上最高の33億3300万円。男子は3試合増の27試合(うち3試合はアジアンツアーなどとの共催で海外開催)。試合増は5年ぶりで、ツアー側は「少しホッとしている」といってはいるが、開幕戦がマスターズのあと4月の半ばであること、日の長い6月から8月の3カ月にオープンウイークが集中していること。最終戦が相変わらず12月で芝が真っ茶色の寒々しい東京であること。まるでかつてトヨタカップで来日した海外の選手に「明日試合をする競技場はどこ?」とまでいわれた、20年前の国立競技場でのサッカー決勝戦を見ているよう。その国立競技場は89年の改修からオーバーシードを採用し、いまやファンは一年中青々したピッチでの競技を見ることができる。
しかし、オーバーシードさえされていない冬のコースで、日没を気にしながら、わずか30人しか出ない試合が多くのファンを魅了するだろうか。自然光を利用し、その地域の一番いい時期、時間帯に開催するのがスポーツの醍醐味でもあるのに、自分たちの都合だけで見る人のことを考えていない。今年度から出場資格が改定されたが、QTからは上位35人しか出られない。シード選手上位60人を足してわずか100人。新人を発掘しようがない。稼げない、ヒーローが生まれない、じゃプロゴルファーになりたい人もいなくなる。プロゴルフの発展には「ヒーロー」が必要であること。そのためには「試合数」「出場選手枠」の拡大が求められる。ヒーローが生まれるチャンスは卓上の理論には存在しないということ。試合のなかからしか求めるヒーローは誕生しないのだ。
まずは日本一を決めるもっとも歴史のある試合から改革することが望ましい。理由は主催がJGAでありこの試合のみを管轄する団体の試合だからだ。具体的には「日本オープン」を、10月じゃなく、もっとも日の長い時期である5月に開催すること。そうすれば、120名よりもっと多くの選手が出場できる。芝生もきれいで生中継もある。たとえば、開幕戦と最終戦を沖縄で開催することだってむずかしいことではないはずだ。
ハッキリいおう。いまのままでは日本のゴルフに未来はない。日本のプロゴルフのスポーツビジネスの生き残りがかかっているいま、ファンでも読者でもない、ゴルフでご飯を食べている関係者すべてに警告したい。
はたして、読者のみなさんは日本のプロゴルフをどう思っているのか?みなさんの意見をわたしは待っている。誌面で激論を交わそうではないか!
今年度のツアー日程が発表された。微増はしたものの根本が変わっていない構造にわたしは嘆いているのである
14年度で51回目を迎えた男子最終戦「日本シリーズ」
男子ツアーの最終戦「日本シリーズ」は、2回大会から大阪のよみうりGCと東京よみうりCCで行われ、95年からは東京よみうりCCが続いている。12月の寒い時期。選手は毎年、そろいの白いベンチコートを着用するのが定番だ。ちなみに、女子の最終戦「リコーカップ」は毎年宮崎で行われている。
タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)――1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。
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