ハローエブリバディ!この記事が出るころは全米オープン真っ最中。1カ月には全英オープンも控えており、わたしも含め、寝不足が心配されるおとうさんもたくさんいることでしょう。
とはいえ、やはりメジャー大会はワクワクしますよね。トッププレイヤーのエキサイティングな試合を見ての寝不足なんて、ゴルファーにとってうれしい悲鳴といったところでしょう。
この時期になると毎年聞こえてくるのが、メジャーに出場する日本人選手のふがいなさ。全米オープンにも全英オープンにも日本ツアーから出場枠があり、それぞれ予選会の上位者が出場しているわけだが、「出場しても予選落ちばかり。実力が違いすぎるのに、日本で予選会をやる意味があるのか」なんてね。
でもね、スポーツビジネスとしては十分ある話なんですよ。
たとえば全英オープン。1993年からミズノ主催のトーナメントが日本予選の舞台となったけれど、その陰には80年代の欧州ツアーの低迷がある。当時、欧州ツアーは人気がなく、資金繰りに困っていた。そこを助けたのがミズノ。欧州ツアーのセベ・バレステロスや、ニック・ファルド、リサロッテ・ノイマンとライセンス契約を結んでサポート。全英オープンのトロフィー、クラレット・ジャグともライセンス契約し、商品をつくった。R&Aはそういったミズノの協力なしではやっていけない時代があったのだ。
全英オープンの出場の門戸を日本に開いたのは、それに対する報酬。以来、R&Aは、毎年、全英オープンと同じクラレット・ジャグを日本に寄贈。ミズノオープンの優勝者はこれをもらうことができる。こういう話は興行としては当たり前の話なのだ。
これに対して、全米オープンの日本予選会の場合は話がちょっと違う。USGAはまったくお金には困っていないからだ。全米オープンの場合は、各国で予選会をやることで、日本、アジア、オセアニアから、旬のいい選手を獲りにいくことが目的。アグレッシブに仕掛けることがUSGAを世界のゴルフのリーダーとして誇示しているように見える。世界の2大メジャーに見る陰と陽に、スポーツ興行としてのビジネスモデルを見ることができるが、では日本オープンはどうだろうか?
それまで120人だった日本オープンの出場枠が、2007年からなにかの理由で108人に減った。わたしはこれに対して苦言を呈していたが、昨年?120人に戻ったことを見ると、日本オープンも変わろうとしているらしい。
やはり大切なのは10年、30年、50年先を見据えたビジョンがあること。R&Aは最古のオープン競技継続を主とした戦略。USGAは全米オープンを通じた、世界への米国ゴルフ力の発信とリーダーシップ戦略。日本のサッカーは100年構想を打ち出した改革があったが、ゴルフは何をもってビジョンとするのだろうか?その場しのぎの改革にならないことを願うばかりである。
日本オープンも出場枠が増え、改革の流れを感じるけれど、責任の所在を見極めないと結局先細りになってしまうぞ!
ミズノオープン、今年も上位4名が全英へ
06年まで「ミズノオープンゴルフトーナメント」として開催。1998年から全英オープン日本代表選手選考会の最終戦としても開催されている「〜全英への道〜ミズノオープン」。日本屈指のリンクス「JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部」(岡山県笠岡市)が舞台。今年も上位4人、手嶋多一、S・ストレンジ、高山忠洋、富村真治が切符を手にした。
タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)――1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。
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