重心距離の長さでアスリートが求めるふたつの性能にわかれる
重心深度が浅いクラブの特徴は、スピン量と打ち出し角が抑えられることと、ヘッドとボールの衝突エネルギーが上がってボール初速が出やすいことです。これが、浅重心のドライバーが強弾道・低スピンボールで飛距離が出る理由。ただし、スピン量が少なく球が上がりにくいので、飛ばすにはある程度のヘッドスピードが必要になります。
そして、浅重心ドライバーは重心距離によってふたつのタイプに分かれます。浅重心+重心距離が長い"飛距離重視"タイプはヘッドがターンしにくいドローヒッター向き。リストを使ってヘッドを返しながら打てば一発の飛距離が期待できます。もうひとつは浅重心+重心距離が短い"操作性重視"タイプ。こちらはヘッドがターンしやすく、ヘッドをイメージどおりに動かせるので、球筋や弾道の高低を打ち分けたい人に合います。
ただし、"飛距離重視"は、自分でヘッドを返す技術がないと打ちこなせないし、"操作性重視"はスイングが安定していないと、ミスヒットがそのままミスになってしまいます。だから、浅重心で飛ばしたいという人は、パワーに加え、これらのテクニックを備えていることが必須条件になるということを知っておきましょう。
[飛距離重視]タイプ
キャロウェイ ビッグバーサ アルファ
重心深度浅、重心距離長
⇒つかまりにくいヘッドをつかまえながら打つことで大きな飛距離が出る
ヘッドの軌道
![](common/image/base/common/loader.gif)
▲重心深度よりも重心距離が長いタイプで、ヘッドがターンしにくく、フェースが開いて当たりやすいのが特徴。リストターンを使ってフェースを閉じながら打てば、ボールにフック回転がかかってドローボールで飛ばせる
スイング
![](common/image/base/common/loader.gif)
▲ダウンスイングでフェースが開きながら下りきて、クラブの軌道はインサイド・アウト。インパクトではリストを使って球をつかまえる、ドローヒッターのスイングに合う
[操作性重視]タイプ
ヤマハ RMX 01
重心深度浅、重心距離短
⇒つかまりにくいヘッドをつかまえながら打つことで大きな飛距離が出る
ヘッドの軌道
![](common/image/base/common/loader.gif)
▲重心距離と重心深度の長さがほぼ同じで、ヘッドの動きはニュートラル。重心距離が短いぶん、ヘッドの小回りが利くので、プレーヤーのイメージどおりに動かせる。また、このタイプはヘッド体積の小さいクラブが多い
スイング
![](common/image/base/common/loader.gif)
▲ヘッドの動きにクセがないので、基本的にはオンプレーンのスイングになるが、操作性が高いぶん、多少スイング軌道やスイングテンポが変わってもクラブがついてきてくれる
浅重心のメリット
・ボール初速が速い
・スピン量が抑えられる
浅重心のデメリット
・球が上がりにくい
・スイートエリアが狭い
![](common/image/base/common/loader.gif)
▲(1)重心が前にあるので、ヘッドの軌道はレベル~ややダウンブロー。打ち出しはそれほど高くならない
▲(2)フェース面と重心の距離が近いと、ヘッドの衝突エネルギーがボールに伝わりやすいので初速が出る
浅重心の球の上がりにくさをカバーする
[ハイロフト]
テーラーメイド SLDR ロフト12度
浅重心ドライバーをヘッドスピードの遅い人が打つと、スピン量に対して球が上がりきらず、適正なキャリーが出ない。そこで登場したのが"浅重心+ハイロフト"の「SLDR」。浅重心のメリットであるボール初速の速さを生かしつつ、ロフトで球の高さを確保して安定してキャリーが出せる。
解説=鹿又芳典 かのまた・よしのり
ツアープロから一般アマチュアまで、その人のスイングに合わせたクラブを組み立てるクラフトマン。自身も競技ゴルファーとして試合に出場する。ブログも展開(golf-baka.com)
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