友人とのゴルフは楽しい反面、ルールはおろそかになりがち。ルールブックをきちんと読めば、じつはペナルティだったということもあるので注意が必要です。
写真=相田克己/協力=サザンヤードカントリークラブ
Question
ティショットを空振りしたあとダフった穴を直したらライの改善?
ティグラウンドは、唯一、地面の凹凸を直すことが許されている。しかし、一度空振りしたあと、つまりボールがインプレーとなったあとでも直すことは許されるのだろうか。
Answer
インプレーでもティグランドは凹凸を直せる
空振りは1打とカウントされるので、ボールはすでにインプレーの状態にあります。このときティアップをやり直してしまうと、規則18ー2aの違反となり1罰打となります。
設問では空振りのあと、ダフってできた穴を直しています。インプレーの球のライを直す行為は、規則13ー2によって禁止され2罰打となりますが、その行為は次の場合は対象外となります。
・球にアドレスをする際にクラブをごく軽く地面につけるとき
・ティグラウンドで地面の凹凸を直しているとき(一部抜粋)
つまり、ティグラウンド上では、そのボールがインプレーであるかどうかにかかわらず、地面の凹凸を直すのが認められているのです。
ゴルフでは同じような行為でも時と場所によって、その罰や処置方法、適用する規則が異なるケースがあります。ルールで疑問が生じたときは第2の球をプレーし、プレー終了後に競技委員に確認することをオススメします。
用語解説
ティグラウンド
正式には「ティーインググランド」という。ふたつのティマーカーの外側の先端を結んだ線と、後方2クラブレングスの長方形の区域を指す言葉。一般的にティグラウンドというと、使用するティマーカーが設置されている面全体を指すが、ゴルフ規則上はこの範囲内のみをティグラウンドと用語が定義されている。
<ライの改善にならないとき>
違反ではなく無罰
◎アドレスのときにクラブをソールする
ルーザグリーンでアドレスするとき、クラブをソールすることはOK。しかし規則13-2には「ごく軽く地面につける」という文章がある。つまりアドレス時とはいえ、必要以上にクラブで芝を押しつける行為は、ライの改善と解釈されることもあるので注意しよう。
◎ティから落ちた球のまわりの凹凸を直す
空振りだけでなく、チョロなどでティから球が落ちても、その球がティグラウンド内であれば地面の凹凸を直すことは可能。この場合のティグラウンドとは規則で定められている区域内(用語解説参照)であり、同じメンテナンスがされている全体を指すものではない。
<ライの改善になるとき>
ペナルティの対象
◎必要以上にクラブを押しつけてソール
スルーザグリーンで、球のうしろを足で踏む行為はライの改善である。しかし、アドレス時のソールは許されているからと、クラブを使って芝を押さえつける行為もNG。同じ行動であっても、その目的が芝を押さえつけるためでは規則13-2による罰はまぬがれない。
◎スイングに邪魔な木の枝を折る
木の枝を折る行為は、スイング区域の改善として禁止行為。たとえ、プレー前のティグラウンド上で球がインプレーになっていなくても、バックスイングの妨げになる枝を折る行為はペナルティの対象。行為のあと、ティアップの位置を変えても罰は適用となる。
その他の「ライの改善」に関する裁定例
Question
バックスイングで枝を折りスイングを中断したら?
Answer
ストロークを行う意思をもってバックスイングをはじめたところ、クラブに枝が当たって折れたことに気づきスイングを止めたケース。規則13-2はストロークのためにクラブを動かしたことによりライやスイング区域が改善されても罰はないとしている。しかし、ストロークを途中で止めてしまうと、そのクラブの後方への動きは事実問題としてストロークをするためとは認められない。よってプレーヤーは2罰打となる(裁定集13-2/14.5)。
Question
スタンスをとろうとしたら枝が動いてプレーの線が改善されたら?
Answer
スタンスをフェアにとろうとしていれば、プレーの線が改善されても罰はない。プレーの線が改善されてしまったことに気づいて打つ前にそのスタンスをやめた場合、その枝が元の位置に戻れば無罰。しかし、元の位置に戻ったかどうかが疑わしいときはプレーヤーに不利に裁定されるべきなので2罰打となる(裁定集13-2/1.1)。木の枝の下など、規則13-2に抵触しそうな状況では、改善が最小限となるように控えめな行動をとることが必要だ。
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