連載コラム

石川勝美-ゴルフ道なき奥の細道

春よ来い

2015/3/21 21:00

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 この冬は寒い。気温もさることながら、風の強い日が多い。

 街を歩く姿勢も、ポケットに手を入れ背中をまるめて、向かい風に歩いている。この号が出るころには、春を感じられるくらいになっているだろうか。

 わたしの趣味に野菜づくりがある。ほんの10坪少々の畑だが、いまは秋に植えた玉ねぎだけしかそこにはない。いや、イチゴの株が10個ほどあるが、畑の端で背を縮めている。春になれば畑に肥料をまいて、土を掘り起こしはじめる。そのころには、花壇の球根も芽を出すし、桃や桜の蕾もふくらみはじめるだろう。

 「Spring」と辞書を引くと、まず「春」と出るが、ほかに「青春」「泉」「躍動」という意味もあるとわかる。冬の間にじっとしていたエネルギーが吹き出してくるわけだ。春のために冬がある、といっていいだろう。

 言い訳が長くなってしまったが、この1月にゴルフに行ったのは1回。そのスコアは94。昨年は何度か80を切ったのに…。だから、長々と言い訳を書いた。わたしは寒さが大嫌い。この正月は、机や書籍の整理をして過ごした。ときには外に出たが、釣りをすることもできなかった(寒いので)。

 たとえば、気温10度以下だと外に出る気が萎えてしまう人(わたしのような人)は、本当は損をしている。なぜなら、1年のうちの4分の1をいやいや生きていることになるから。人生80年といっても、その人は60年しか生きていないことになる。

 ちょっと過言だ。盛りすぎかもしれない。

 わたしのそんな生活は会社を辞めてしまったからで、勤め人のときは寒い朝も白い息を吐いて元気に会社へ行っていたのだから。


いまのわたし

 年を取るごとに残りの人生は確実に少なくなっていく。そういう状況におかれている人間(老人)は、なぜか急がずにゆっくり生きている。逆に残りの人生が多い人間(若者)が、毎日を忙しく生きている。これって、反対じゃないのか?

 理屈をつければ、老人には差し迫った目標がないから、あわてない。若者も、たとえば受験生は目の前の入学試験があるから、そのときまでの時間は短い。そういう理由になるのだろう。

 その考えは、現状受け入れられているが、正しいとは思えない。今日を生きる、と考えたら、絶対に残りの人生のために老いたら急ぐべきだし、若ければゆっくり大きく構えるべきだ。


一歩踏み出せ

 毎月毎月勝手なことばかり書いていて、いまさら申し訳ないもないが、こういうことを書くことによって、自分に「急げ!」と活を入れていると思ってほしい。

 なにかを探せ。そして、あと10年で完成させろ。そう言い聞かせながら書いている。


追伸

 二男は15歳で高校受験の最中。見ていて、焦ることはないといいたい。子どもがいると、親はその子どもの年齢になったつもりでいる。孫と祖父母の関係もまたしかり。自分が死んでも子どもが生きていると思えるから、人間はゆっくり歩けるのだろうか。













石川勝美 いしかわ・かつみ
プロゴルファー石川遼の父。ゴルフ界発展のためのさまざまな提言を発信する。ゴルフをはじめ読書、写真、釣り、旅、競馬、家庭菜園など趣味は多彩。著書に『石川家の子育て』など。1956年生まれ。

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