イラスト=北沢夕芸
ハローエブリバディ!梅雨ですが、ゴルフは自然との闘い。雨ゴルフも大いに楽しみましょう!
自然との闘いといえば、先日、「リゾートトラスト レディス」が強風のため最終日を中止。36ホール競技に短縮し、2日目首位だった表純子選手が優勝しました。
ゴルフは悪天候で試合が中断することはざら。その日に消化できなければ次の日に繰り越しになるし、それが最終日なら予備日を使うのが、見に来てくれる人がいる以上、あるべき姿。ところが、日本ツアーは予備日を使わず、いとも簡単に中止にしてしまう。なぜか。
スポンサー競技なら、スポンサー・主催者の申し入れがあれば予備日を設定できるはず。そりゃ、野球のようにほかの日にやるのも無理だし、台風とか長雨だったら予備日をとっても無理なこともあるだろう。選手は賞金をもらえれば気がすむかもしれない。でも、野球やサッカーなどほかのスポーツみたいに、ギャラリーのほとんどが自分でチケットを買って見に来ているとしたら、中止にすればチケットの払い戻しで大赤字。ツアー存続の危機になるはず。そう簡単には中止にできないよね。
つまり、最初からギャラリー収入は不要。テレビ中継と広告宣伝とプロアマとの顧客ビジネスのツールとして試合が成り立っているってこと。スポンサーが一億円出したとしたら、その半分をチケット収入で賄おうなんて思っていないってことですよ。
たとえばマスターズはチケット収入で成り立っているから、毎年、チケット収入確保が大問題。放映権収入もあるけれど、出る選手次第で毎年上下動するわけだしね。
世界的な常識として、一般的なスポーツイベントで一番大事にしなくちゃいけないのはチケットを買って見に来てくれるファン。スポンサーの2億、3億円に比べれば、彼らの払う額は最少。でもそこで額の大きい方を大事にしていると、ファンがいなくなれば試合はなくなっちゃうのが普通。
なのに、日本ではそれが成立する。そもそもチケット収入は期待していないから、今日は中止にしちゃおう。プロアマやって、テレビ放映できれば36ホールでも十分だと。ギャラリーが来なくても、平日でも、最後まで試合を成立させることが大事なのに……。
成熟もしていないのに賞金額ばかり高くなっていく日本ツアー。あらためて心配してしまいました。
それにしても、ステップアップだって3日間やるのに、36ホールで競技成立って、しょぼい……。
ゴルフは天候に左右されるスポーツ。予備日を使わず平気で中止にできるのはチケット収入不要で試合が成立する特異な興行モデル。このままだとファンが離れていっちゃうよ
27年ぶりに月曜フィニッシュした昨年の全英オープン
史上最大の悪天候に見舞われた、昨年の「全英オープン」。2日目は大雨で3時間、3日目は強風で10時間半以上中断。最終日の日曜中にフィニッシュできず、決着は予備日の月曜に持ち越された。しかも3人で4ホールのプレーオフ。ザック・ジョンソンが表彰されたのは現地時間で夜の20時だった。
タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)/1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。
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