連載コラム



シードを獲るために必死に食らいついた

2014/11/15 22:30

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シードを獲るために必死に食らいついた

――PGAツアーも2年目。早々にシードを確定してステップアップできたのではと思います。手応えはありましたか?

 2013年のシーズンがはじまって思ったのは、けっこうまわりの選手全員が自分より上に見えたことです。自分なんてたいしたことない、それどころか全然ヘタなんだって感じはやっぱりありました。もちろん覚悟はしてたんですけど。でも、いまは自分が普通にいいプレーができれば上に行けるっていう、確信みたいなものはあります。

 いまのPGAツアーは、実力的に上の10人くらいは第一集団で抜け出ている感じがしますが、その下はものすごい団子状態。第一集団が10人だとしたら、第二集団が11位~100位くらいまでの感じ。第一集団の選手が試合に出てくると絶対上にくるけど、彼らが出ていないと本当にだれが勝つかわからない。その大きな第二集団の下の第三、第四集団に去年僕がいた。そこからいまは第二集団に入ってきている自分がいるなという意識はあります。

――去年は入れ替え戦に行かなければならなかった。成長したと感じますか?

 そうですね。単純にこの結果は、やっぱり1年間やってきてマグレではないと思うんですよ。1年間やってのランキングなので、技術力は示されていると思う。去年は入れ替え戦に行って、這い上がってきて。やっぱりその悔しさだったり、入れ替え戦の過酷さだったりを経験して、あそこには戻りたくないというのがあるし、もっともっと成長したいという思いもある。ただ、入れ替え戦でトップ10に続けて3回入れたことは、今シーズンにすごくつながったと思います。あれは本当にいい経験でしたね。

 今年この位置にいるのは、フルで2年間やってきて前進できたからだと思います。見方によっては一歩とか半歩しか進んでないように見えるかもしれないけど、前進するのがすごくむずかしいツアーだと思うので、シードは最低限のラインでもあり、ここでやって行くためにはクリアしないといけない一番大事なラインでもあると思っています。だから、成長はできていると感じています。

――2戦目(昨年10月)のシュライナーズホスピタルで2位になって、シード的にはだいぶ楽になりましたよね。

 もちろん大きいのはわかってましたけど、まだこれからなにがあるかわからないっていうのがあって、全然気を抜けませんでした。1月のソニーオープンで予選落ちして、やっぱりまだわかんないなって。予定がなかった翌週のヒューマナチャレンジに急きょ出ようって決めたり、必死にやっていかなきゃダメなんだなと思っていました。スケジューリング優先というより、やっぱり試合に出られるんだったら、どんどん出て行かないと。出場の優先順位も全体で130何番目という感じでしたし。スケジュール的には厳しかったですね、1月、2月あたりは。それで、3月のプエルトリコで28ポイント獲って450ポイントぐらい行ったんですよ。そのときの達成感はすごかったですね。シードが確定のラインが450~460だといわれていたんで。

――シード獲得が最優先事項だった。

 そうです。やっぱりシードを獲るために必死でしたね。自分のペースでやろうじゃなくて、とにかく必死に食らいついていかないと。やっと練習できる体ができてきて、できるだけ練習しようっていう感じでした。







腰痛の回復でパットが復調

――今シーズンは去年苦しんだパットが好調でしたね。パットはだれでも苦しむ時期はありますが、なにか復調のきっかけがあったのですか?

 14本のクラブのなかで、どのクラブが一番信頼できるかっていえば、パターなんですよ。最後にやっぱりパターがカバーしてくれる。ドライバーがひどく左にいって、セカンドがラフから乗っただけでも、そこでパターを握るとバーディがあるんじゃないかと思えるクラブにいまはなってきています。

 たぶん、去年は練習不足だったと思うんですよ。11年に腰に違和感が出はじめて、自分では気にせずやっていたんですけど、12年の終わりごろからなかなか練習できなくなってきて。その年、太平洋マスターズに勝ったんですけど、あのときもあまり練習はできていなかったんです。パターの練習はせいぜい10分しかできなくて、腰が不安になってくる感じでした。そういうのが毎日続いてました。

 09年は日本で平均パット数1位で、アメリカにスポットで出させてもらった10年、11年もパットのデータはよかったんです。でも、そこから練習量が減ってきて、自分でいいフィーリングで自信もてて打てていたの
が、練習不足で徐々に感覚がずれていたんですね。そのタイミングとPGAツアーにフル参戦するって決めたタイミングが重なって、さらに13年の序盤はまわりがうまいと思って自分に自信がもてなくなってた時期で、なにもかもに自信がもてていなかった。

 でも、体がよくなってきて、だからってすぐに結果が出るわけではないんですけど、体がよくなることで練習ができるようになった。今年の6、7月の時点でパターの練習を2時間ぐらいできるようになりました。そこから必死にやりましたけど、いま一番自信がもてるクラブに戻ってきています。自分でもよかったなと思うし、やっぱりパターって、最後カップに入れるっていうことを前提に考えているクラブだから、メンタルは大事かもしれないですね。

――入るようになったという感覚はありますか?

 はっきりありますね。やっぱりパットがいいとピンに寄せていくショット、短いアプローチからセカンドショットまで、グリーンを狙うショットに余裕が出ますよね。アプローチ、パットに自信がないときって、結局パットに縛られちゃうんですよ。ドライバーでフェアウェイに打たないといけない、アイアンでグリーンに乗せないとボギーになっちゃうっていう。やっぱりアメリカのグリーンまわりは日本よりむずかしいというのがあるんで、なるべくグリーンをはずしたくないとすごく感じます。でも、いまは5、6メートルのパットはどのグリーンに行っても、すごくイメージが出るしあわせていけるから、たとえば8番アイアンのショットがピンから5メートルでも気持ちとしてはオッケーにしちゃう。パットで決められるっていう自信があるから。カップに近づくほど安心するのがいまのゴルフです。それが去年は逆でした。

――いまは体調に問題はないのですか?

 痛いところはないです。自分が思ったぶんだけ練習できるし、トレーニングもできる。走れるっていうのが、自分のなかで大きいですね。去年は走ることが怖くてできませんでしたから。

――そんなに悪かった?

 かなり悪かったです。走ったらぎっくり腰になっちゃう。だから、怖くてできなかったです。パターの練習も無理して20分とかやると、次の日の朝に痛みが残ってしまいました。

――アメリカの生活にも慣れたと思いますが、日本で急に有名になって周囲の視線をプレッシャーに感じるところもあったと思うんですけど、いまはどうですか?

 まわりが僕にプレッシャーをかけていたことは一切ないと思うんです。自分が気にしちゃってたんですよ。これだけ有名になっちゃったから、僕がここに行ったらこうなるんじゃないかな、っていうのを考えて外に行かなかったり。それだけの話なんで。最近は日本でもけっこう外出するようになりました。自分が行きたいから行くみたいな。大変なことが起こるようなことはない気がするんですよね、いま行っても。落ち着いてきてるっていうか、自分自身もそうですし。高校1年のときに勝ってワーってなったじゃないですか。あのとき、僕あんまり記憶ないんです。途切れ途切れで。

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