連載コラム

タケ小山のオレにいわせろ!

協会側がテレビ中継の解説をする非常識。選手のセカンドキャリアの芽を自ら摘み続けるとは…

2015/12/21 21:00

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写真=田辺安啓 イラスト=マスリラ

 ハローエブリバディ!メリークリスマス&ハッピーニューイヤー。今年もいろいろいわせていただきましたが、まだまだいいたいことがあるので2016年もよろしくお願いします。

 2015年を振り返ってあらためて思うのは、テレビ中継の解説者が男女とも相変わらずのメンツだったということ。それが納得の人物だったら文句はないが、JGAやLPGAという協会側のフロントが地上波で解説するという、世界でも類を見ない驚愕の珍現象。

 Jリーグ、プロ野球、バスケットにバレーボール…テレビ中継のあるメジャースポーツで、自分のとこの協会フロントが公共の電波で解説をするなんてありえない(相撲協会は別。これはプロスポーツ団体として世界でも唯一無二の完全組織である)。協会フロントが解説をするとどうなるかというと、自分のツアーの批判をするはずもなく、いいことしかいわない。正しくないことも、正しい、となりかねない。つまり、正当な解説にならないということ。

 欧米でスポーツコメンテーター、つまり解説者は「カラー」といわれ(ちなみに実況は「プレーバイプレー」)、中継に色をつける役。選手やプレーを正当な目で見て、ほめることもあれば、批判することもある。当然、それをできる立場の人がやる。なのに、ツアー存続の危機といわれる中、自分たちだけの主催競技も増やせないままでいるのに、自ら権利をもつスポンサーに迎合するなんて…。改革する気なんてさらさら感じない。

 とまあ、その話も情けないが、もっと情けないのは、その椅子に何年も居座ることで、引退した選手たちのセカンドキャリアの芽を摘んでいるということ。

 たとえば解説にいろいろな元選手を起用すれば、意外な才能が開花して、第二の人生が開けるかもしれない。視聴者側も、中継がおもしろいほうがいいし、スター性のある人気解説者が生まれるかもしれない。なかには「引退したら解説者になりたい」という選手もいるだろう。しかしいま、その可能性はゼロ。協会のフロントが選手たちの未来をじゃましているこの状況。いかに狂っているのか。ねえ、みなさん、わたしのいうこと、間違ってないと思いますがねぇ。


協会のフロントが解説すればいいことしかいわないのは当たり前。正当性と視聴者を無視しているしなにより、引退後の選手たちの雇用を奪い続ける厚顔無恥。ホントにダイジョーブ?




全米オープンでは往年の選手が解説




2015年「全米オープン」は、メインにグレッグ・ノーマン(右)、サブにブラッド・ファクソン(左)が解説。さらに、ラウンドレポーターにLPGAのナタリー・ガルビス、ジュリー・インクスターも採用。全員が初体験だったというが、好評を得た。


タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)/1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。

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