連載コラム

タケ小山のオレにいわせろ!

1試合増、賞金総額も過去最高。女子ツアーが人気と注目されているけれど、ホントにいいことなの?

2016/1/21 22:00

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写真=小林司/イラスト=北沢夕芸

 ハローエブリバディ!もう初打ちには行かれましたでしょうか?わたしはすでに5回ラウンド。今年も「日本シニアオープン」を予選からトライするつもりなので、応援よろしくお願いします。

 さて、アメリカの男子ツアーはもう始まっていますが、日本は男子ツアーがアジアンツアーとの共催で1月と2月に1試合ずつで、本格始動は4月から。女子は例年どおり3月に開幕する。その共催を含めて男女とも1試合増で、それぞれ26試合と38試合が行われる予定。今年もまた女子の試合数は男子のほぼ1・5倍と圧倒。賞金総額も4年連続の最高額更新で35億2000万円だと話題になりました。テレビや雑誌で騒がれたイ・ボミブームを筆頭に「女子プロ人気」がとりあげられ、女子ツアー関係者もさぞお喜びのようすですが、はたして、本当に喜んでいい状況なのでしょうか。

 だってね、昨年度、イ・ボミが男女含めた日本ツアー過去最高の賞金で女王になったけれど、世界ランキングにするとたんなる15位。同郷の韓国人選手が上に7人もひしめいていて、しかもトップ10に6人もいる。「オリンピックに出たい」とコメントした、日本歴代最高額の賞金女王なのに、いまのところ完全に圏外なんですから。

 なんとかオリンピックに出るためには、8月の開催までにポイントを稼いでランクを上げなければならないが、あと何人抜かなきゃいけないのか…。

 ポイントを上げるためには、日本ツアーにいてもダメ。なぜならば、日本ツアーに対するポイントが低いから。つまり、世界レベル的に低く見られているというわけ。日本ツアーでどんなにいい成績を出しても、ポイントにつながらないという悲しさ。15年度は賞金女王を目標にして実現したイ・ボミだけど、オリンピックのことを考えれば、海外メジャーにもっと出ておけばよかったと思っているかも…。

 日本ツアーのレーティングバリューを上げるには、もっと海外に進出して強い選手を増やし、中身の濃い、ファンにも選手にも魅力的な試合をつくることが不可欠。

 試合数が増えた、総額が増えた、と喜んでいては井の中の蛙。緊張感に欠ける試合をやっていて、あとで痛い目に遭わなければいいと思うのですが…。

日本ツアーの価値が低いってことに危機感をもたないと近い将来ツケは必ず回ってくるぞ!




15位のイ・ボミの前に7人の強敵!




現時点の女子ワールドランクによると、2位パク・インビ、5位ユ・ソヨン、7位キム・セヨン、8位エイミー・ヤン、9位キム・ヒョージュ、10位チョン・インジ、14位ジャン・ハナと韓国勢が占めている。イ・ボミがオリンピックに出るには最終選考の7月11日までにどれだけポイントを稼げるかにかかる。


タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)/1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。

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