連載コラム

タケ小山のオレにいわせろ!

ツアーの会長が象徴的な存在で興行というビジネスを成功させることはできるのか?

2016/3/30 22:00

  • LINE
写真=前田俊二/イラスト=北沢夕芸

 ハローエブリバディ!女子ツアーも開幕し、日本のゴルフ界も活気づいてきたようですが…。

 そういえば、男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の会長が、海老沢勝二さん(81)から、青木功さん(73)に変わりましたね。海老沢さんは、ジャーナリスト出身の元NHK会長で、現在相撲協会の外部理事なども務めています。そして、青木さんは永久シードをもちゴルフ世界殿堂入りまではたした「世界のアオキ」。プレーヤーとして日本のゴルフを引っぱってきた先輩であり会長にふさわしい人物であることは間違いない。順風満帆なツアーであれば、その長がシンボル的存在でも異論はないのである。

 ただ、現在の男子ツアーにおける会長職のポジションになにを求めるのかということになると、いささかこの人選の方向性には疑問である。

 日本の男子プロゴルフには、インストラクターやツアープロを統括する日本プロゴルフ協会(JPGA)があり、そこを統括するのは青木さんと同じプレーヤーの倉本さんだ。PGAの役割は、ゴルフの社会普及のためのゴルフ層の拡大で、あくまでその人材としてのプロゴルファーを束ねる団体だ。その要職がプロゴルファー出身であるのは否めない。

 でも、ツアーを統括する人物には全く違う手腕が求められる。国内ならば、スポンサー、テレビ局、代理店との交渉、さらにはファンを増やすための戦略などなど。その仕事は多種多岐にわたる。さらに、PGA(米)、ヨーロピアン、JGTO、ツアー・オブ・オーストラリア、サンシャイン(南ア)、アジアンの世界6大ツアーのなかで第三の発言権をもつJGTOのトップがイングリッシュスピーカーじゃないというのも心配だ。

 現在、海外ツアーの代表は、米会長のティム・フィンチェムにしても、欧州のチーフエグゼクティブ、ジョージ・オグレディにしても、ビジネスマンとしてそれぞれのツアーを成功させている。そんななか、いまの日本男子ツアーの状況で、トップが象徴的存在でもいいというならば構わないが、試合を増やすだけでなく、興行としてさらなる飛躍を求めていきたいのなら、そうではないはず。

 ましてや、大先輩を会長に据えることでタテ社会に逆戻り。選手会が推したという噂もあるが、風通しがよくなるとは思えない。下からの意見が通りにくくなるのでは、と危惧するばかりである。

海外ツアーを司っているのはプレーヤーではなくビジネスマン。なのにタテ社会に逆戻りした日本。風通しがよくなるとは思えないが…




JPGAとJGTO




日本男子プロゴルフ界にはふたつの団体がある。倉本昌弘会長のJPGA(日本プロゴルフ協会・公益社団法人)は、ゴルフの普及ならびにゴルフ分野のスポーツ振興及びゴルフを通じた社会貢献が目的。青木功新会長のJGTO(日本ゴルフツアー機構・一般社団法人)は日本のゴルフツアーを主催・主管する組織だ。


タケ小山
本名=小山武明(こやま・たけあき)/1964年生まれ。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ほかラジオやコラムニストとしても活躍。東京都出身。

テーマ別レッスン

あなたのゴルフのお悩みを一発解決!

注目キーワード
もっとみる
閉じる